Amazon Primeで映画「カンパニー・メン」を観ました。
アメリカ映画で急に上司に呼ばれて「今日で君は最後だ」なんてシーンが良くありますが、本当にある話なのだそう。つまりいきなり解雇されるんですね。
この映画では、サラリーマンとして生きていた主人公がいきなり解雇され、一変する生活とそこで奮闘していく様子を描いています。
今回は、そんな「カンパニー・メン」を観た感想をお伝えします。気になった方は、是非観て下さい。なお、本記事はネタバレを含みますのでご注意ください。
リーマンショックで起こったこと
突然の解雇(クビ)宣告
勤続12年で販売部長をしていた主人公ボビー(37歳)は、いつもの日常と変わらず高級外車を乗り回し会社に出勤します。年収10万ドル以上を稼ぐエリートサラリーマンです。
しかし、出社した途端に言い渡されたのは、解雇。あまりの突然の出来事に言葉を失います。
社長であるジムが、会社の株価が低迷して買収の恐れがあるということで数千人規模の大規模なリストラを行ったのでした。ボビーも、その一人に選ばれたのです。
映画はリーマンショック後の年代を舞台に描かれていますが、実際にアメリカでは多くの失業者が出ました。このシーンでは、その現実が描かれているのです。
その後、案内されたのは再就職支援施設。宗教まがいの熱血指導で再就職先を見つけようと必死になりますが、中々見つかりません。
非常にドライな雇用関係
アメリカでは州によって異なりますが「At-Will(自由意志雇用契約、At-Will Employment Agreement)」という雇用契約が基本のようです。
これはつまり、雇用者側も労働者側も、いつでも雇用契約を破棄できるというものです。労働者側からも契約破棄ができるので、双方が対等な関係であることがわかります。
レイオフという言葉もありますが、これは再雇用を前提とした一時解雇です。今回の映画では、レイオフではなく解雇(fired)です。
アメリカでの雇用の実態についてはネット上に沢山記事が上がっているので、どれか読んでみてください。以下はCaryさんの記事です。
こちらはQuoraの記事です。カリフォルニア州でのハイテク業界について書かれています。
ベテラン社員らも解雇に

出典:映画.com (C)2010-JOHN WELLS PRODUCTIONS
まず解雇になったのはボビーですが、その後に再度大規模なリストラが実施され、定年近いフィルも解雇を告げられます。フィルは入社当時は現場で造船作業をし、30年間会社のために働き続けたベテランです。
そんなフィルの解雇に、再就職支援施設の人々も驚きます。
さらには、副社長のジーンまでもが解雇されることになりました。社長のリストラ施策に歯向かったことで反感を買われたのです。
さて、立場のそれぞれ異なる3人が直面した失業という現実。どのように立ち向かっていくのでしょうか。行く末を想像しながら視聴するとより没入感が得られますよ。
エリートとしてのプライド
MBAを持っているのに・・・
ボビーは再就職先が見つかるまで周囲には隠すつもりでしたが、実の娘が食前の祈りで「パパの就職先が見つかりますように」の口にしたことで完全にバレてしまいました。
失業していると知った義兄のジャックは、自身の営む大工仕事の作業員として、ボビーに「雇うぞ」と言いますが断られます。ボビーはこれまで販売部長として大金を稼ぎ、MBAも保有し、エリートサラリーマンだったプライドが捨てきれなかったのです。
しかし、依然として再就職先は見つからず、ローンの支払いが滞ります。
息子にプレゼントしたゲーム機も、実は息子が返品して生活費の足しにしていた事実も知り、ボビーはようやくプライドを捨てるようになります。
実家に戻り義兄の大工仕事を手伝うようになったのです。
ジャックが実はめちゃいいやつ
映画の序盤では、ボビーはジャックを嫌っていました。ジャックもボビーを好いてはいませんでした。所謂犬猿の仲というやつです。
しかし、ジャックは実は生活に困るボビーを心配する頼れるアニキだったのです。
ボビーの失業を知って雇おうとしたこともそうですが、生活に困っているボビーを見かねて給料を余分に多く渡していたシーンがあります。
ボビーは多く給料が払われていることに気がつき指摘しますが、ジャックはこう答えます。
オーマイゴッド!!めっちゃええ奴や!!アメリカーン!!正直に言わないところがまたイイ。
しかも他の職人達に仕事を分け与えるために安価で仕事を引き受け、また自分だけ休日出勤して職人達が過重労働にならないようにする熱い男だったのです。
こんな先輩いたら一生ついていきゃすわ。
解雇された3人の結末
このように失業を隠して苦労していたボビーは、当初は「助けられるなんて情けない」というプライドがありましたが、徐々にそれは無くなり、周りに感謝しながら何とか生活できるようになります。
そして、副社長であったジーンが新たに会社を興し、その社員として迎えられたのです。最終的にはクビになるだけだと前向きな気持ちで新たなスタートを切ることができました。
一方でベテランのフィルは、再就職先が決まらず、また支援施設にも通わずに酒に溺れた日々を過ごしていました。あてにしていた旧友からも「君を雇ったら私は皆に笑われる」と言い、60歳近いフィルを雇うことはしませんでした。追い詰められたフィルは、自ら命を絶つ道を選びました。
映画の感想
立場の異なる3人の失業者を追いかける形で物語は展開されていきますが、どれも現実に起こりそうな話ばかりで観ている私も戦々恐々としていました。
日本企業はこれまで終身雇用と言われてきましたが、それはもう無くなりました。古き良き日本企業も未だ存在しているのは確かなのですが、60歳定年まで勤めあげるのは難しいのです。
アメリカのGAFAや中国のBATHをはじめ、巨大な外資系企業が誕生しています。一方で「潰れるはずがない」と思っていた企業が潰れるのも珍しくありません。日本企業は歴史ある企業を信用する傾向にありますが、旧態依然の体制から変革できない企業は漏れなく潰れていきます。
この映画の主人公になる可能性は自分にもあるのだと言い聞かせながら、日々の仕事に励みたいと思いました。
まとめ
映画だから少し脚色しているのでは?とお思いかもしれませんが、私はそうは思いません。日本では即日解雇はあり得ないと思いますが、外資系企業が進出して日本の雇用制度も変わるかもしれません。
以上、TakaViewでした。