いやー、ラストは結構感動しました。ブラック企業に勤めていれば必ず共感できる部分があると思います。
サラリーマン役の青山隆を演じている工藤阿須加さんが素晴らしい演技でした。絵に描いたようなブラック企業の中であの働きぶりはもう社畜の神様としか言いようがありません。
私だったら間違いなく反抗していますし、刑務所に入る覚悟でクソ上司をボッコボコにしてやりたいくらい腹が立ちました。そのような苛立ちを与える山上部長役を演じた吉田鋼太郎さんもとても良かったです。
今回は、この映画を観て考えたことをお伝えします。少しネタバレを含んでいるかもしれないので、映画が気になる方は先に観ておいてください。
仕事で死ぬくらいなら辞めちまえ
この映画で一番言いたいことは、「仕事が辛くて自ら命を絶つようなくらい追い詰められているなら、今すぐ仕事を辞めろ」ということだと思います。
世の中のサラリーマンは、一度は「仕事を辞めたい」と思ったことがあるのではないでしょうか。
仕事内容がつまらない、上司が嫌なやつだ、給料が低いなど理由を挙げればたくさんあると思います。それでも渋々働いているというのがサラリーマンの現状です。
ではなぜ渋々働くのか?それにはいくつか理由があります。
・転職するほど仕事が嫌ではないし、面倒くさい
・家族がいるから簡単に会社を辞められない
・会社を辞めたら次は正社員になれないかもしれない
・辞めたら周りに迷惑がかかる
特に日本では子供の頃から周りに迷惑をかけるなと教えられているので、真面目な人ほど「会社を辞めたら周りに迷惑がかかる」と気にして辞めることができません。
また、日本では一度失敗する(レールから外れる)と立ち直れないという風潮が浸透しているのか、一度入った環境を中々変えることができません。特に会社となるとそれが顕著になります。会社を辞めることは悪いことだと考えてしまうようになります。
そしていつの間にか「仕事=人生」になってしまい、極度に辛くなると「自殺」という結果になってしまいます。実際毎年100人弱の方々が自殺もしくは自殺未遂となっているそう。この映画は、そのような現状を叩きつける内容にもなっています。
映画中にこのようなセリフがあります。
「仕事を辞めるのと、自殺するの、どっちが簡単なん?」
仕事を辞める方が簡単に決まっていると傍から見れば思いますが、そう思うことができず自殺(過労死も含む)を選んでる人がいるという現実があります。何のために働いているのか、何のために生きているのか、凝り固まった考えを持っているとずぶずぶと沼にハマっていくことを知っておくことは大切かもしれません。
実は全員が被害者なのかも
この映画では詳細に描かれていませんが、山上部長も本部から熾烈な詰めを受けているのではと考えることができます。実際の職場でも、嫌な上司はそのさらに上司に嫌なことをされているというのはあることです。
山上部長にも家族があって、子供が3人いて育てるのにお金も必要で、本部からはノルマを達成しないと減給にするぞと言われていたとしたら、観客の感情も変わることでしょう。
ただ、他人のことなんて考えたらキリがありません。結局は、「自分が何のために生きているのか」、「何のために仕事をしているのか」を日頃から考えておかないといけないのです。
「山上部長を喜ばせるために生きているんだ!」というのなら、彼は自殺なんて考えていなかったでしょう。
山上部長も五十嵐先輩も、そんなに嫌なら辞めればいいのです。
原作あっての映画
この映画には原作があり、それは北川恵海さんが同タイトルで出版されたものです。なんでも累計発行部数が70万部を超えているということで、大ヒット作となっています。
そして、実はこれには続編があり、「ちょっと今から人生かえてくる」というタイトルで販売されています。これは映画で青山隆の先輩社員であった五十嵐が主人公となっており、青山に対して散々な苦しみを与えた背景などが描かれているようです。
映画を観てしまうと本での展開が気になってしまって仕方がないので、近日中に続編を含め読んでみたいと思います。気になった方は是非一度、映画や本をチェックしてみてはいかがでしょうか?
以上、TakaViewでした。